小説 術にかけられて。

 その日の夕方
彼はひとつの
術に
かけられた

めはたれさがり
脳の
回転は速度を緩め
手の力もペンもにぎれず

ぼーーーーーっと
画面を
みて

ダメだ
ダメだと
さけんでみても

アタマを
たたいてみても

暗闇のなかで安らぐのは
容易いことだった。

この世に24時間と
勝手に決められた
尺度
に振り回される

48時間ねたって
いいじゃないか
そもそも
時間の概念こそうんたらかんたらと

概念の中でのいわゆる
朝がキタ。


今日こそは

誓うも
結局

日々術にかけられるのかも
しれない。


ただ、
そんな
見えない術をいいわけには
したくない
という
彼の心情は
自分自身が一番わかっている

人は
なにを
するために
起きてねるのか
なぜ
起き続けないのか
なぜ
オワリ

ある
日々を
苦悩と戦いで埋めつくすの


機械にかこまれ
米をくい
ゴミとたわむれ
帽子をかぶって
出かける
日々よ。


いつか
そんな
考えも忘れて
しまったころに

今この瞬間の想いはどこにも無いかもしれない。

もっとがんばれ。
ただそれだけ。